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恋人はサンタクロース 56

 投稿者:葵アルト  投稿日:2008年 1月 3日(木)18時13分45秒
返信・引用
  「……ハーレ…イ?」
 呟いたものの、まさかと否定する。
 けれど、もしかしてと心のどこかで思っていて、知らず足が動いてしまっていた。
 ハーレイだったらきっと逃げない。
 ハーレイだからこそ逃げる。
 二つの思いが頭の中でぐるぐる回っている。 柔らかに舞う雪が肩に髪に肌に落ち、熱を奪って溶ける。
 次第に早まる足取りになっても逃げ出さないトナカイに、勢いよく駆け寄ったブルーは首に抱きつき胸元の真っ白い毛の中に顔を埋めた。
 


恋人はサンタクロース 55

 投稿者:管理人  投稿日:2008年 1月 3日(木)16時46分54秒
返信・引用
  まだそんな季節でもないのに……と絹糸のように白い雲を引く青空を見上げる。
魔法界にも季節はあるが、誰かが魔法を使って極地的に季節を変えるということもあり得るから。でもそんなに強いパワーを持った人がこの学校にいただろうか。
ブルーは不思議に思いながらも、雪の舞う中、裏庭に急いだ。
少し開けた場所に踏み出した足が止まる。
目の前に高々とそびえる角も立派な、牡のトナカイが佇んでいた。
首から胸元にかけてたてがみのような真っ白い毛が被い、逞しい胴と足は白金色に輝いて見える。
雪はそのトナカイを中心に、空から降ってきているようだった。
白樺の林を見ていた大きな頭が、ブルーの方を振り返る。
豊かな琥珀色の丸い瞳が、彼に似ている気がして、ブルーは思わず呟いた。
 
ケータイで撮った動画を掲示板に投稿

恋人はサンタクロース 54

 投稿者:葵アルト  投稿日:2008年 1月 2日(水)22時46分45秒
返信・引用
   ジョミーを探していたが、いつの間にか視線は彼を捜している。
(キースには……)
 きっと知られているだろうなと思う。
 掲示板のある場所に行ったがいなかった。
 他の者の実習先も気になるが、彼の姿が見あたらないことの方が重要で見ようとも思わなかった。
 校舎から走り出て中庭で視線をぐるりと一周させる。
 そこに姿がないと分かると、今度は部屋へ行き、不在と知ると次に校舎の裏へと足を運んだ。
 なだらかな丘から林、そして森へと続く裏庭は、密やかな場所が多すぎて、きちんと場所を指定しなければ会えないと校長からのお墨付きの場所だった。
  丘から林の方を眺めるが、人の姿はなかった。
 だが校内でハーレイの姿を見た者がいないとなれば、裏庭が一番怪しい。
 少しだけ探してみようと足を踏み出せば、雪がちらちらと舞い降り始めてきた。
 
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恋人はサンタクロース 53

 投稿者:管理人  投稿日:2007年12月23日(日)11時00分23秒
返信・引用
  「僕もそっちにしてもらうように頼んでみる!」
血相を変えたジョミーは、慌ただしく廊下を駆けていった。
「ジョミー!他の皆は?!…………ああ、もう本当に忙しないんだから」
ブルーはあっという間に見えなくなった金髪の頭に、諦めの混じった息を吐く。
「別に他人の心配をすることはないだろう。どうせすぐわかることだし、それよりお前が気にしてるのはあの男の実習先だろう?」
背後からかけられたキースの言葉に、ブルーの動きが止まる。
「……あの男って……?」
しばらくお互い沈黙し、ブルーはくるりと身体を返すとキースに優しく笑って「じゃあね」と手を振った。
「マツカに謝っておきなよ」
そしてパタパタとジョミーの後を追いかけて行ってしまった。
 
お得なプロバイダーとくとくBB

恋人はサンタクロース 52

 投稿者:管理人  投稿日:2007年12月21日(金)00時55分56秒
返信・引用
  「まったく情緒不安定な奴だ」
ぼそりと呟くキースにブルーは、(呆れた)と言わんばかりに冷ややかな視線を向ける。
「ねえ、ブルー、それ実習先の?」
先程の涙はどこへやら、ジョミーが封筒を指差す。
「ああ、そう。まだ見てないんだ」
カサカサと中から取りだした便せんには、校章の透かしが入っているが、何も書いてはいない。
いぶかしがる三人の前にほわんと白い煙が上がった。
『おめでとう、最優秀生徒に選ばれたキース、そしてブルー。あなたたちの実習先ですが、ナスカのファームです。滅多にない素晴らしい経験をしてきなさい』
はあとマーク付きの声はブラウ校長のものだった……
「えッ?!!ちょっ、ファームってトナカイ農場のこと??!」ジョミーは思わず叫んでしまった。
 
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恋人はサンタクロース 51

 投稿者:葵アルト  投稿日:2007年12月19日(水)23時14分14秒
返信・引用
  「……ブルー」
助けを求めるようなマツカの声、そして縋るような瞳で見つめられ、ブルーは起こしかけた目眩から無理矢理立ち直り、鈍くてどうしようもない二人に向かって盛大なため息を吐き出した。
「マツカ」
ブルーが呼ぶと、言葉にならない感情を滲ませた瞳でブルーを見返してきた。
「……マツカ…はい」
ブルーがハンカチを差し出すと無言で頷き手に取る。
「………ありがとう…」
ブルーにだけそう言うとマツカは涙を拭って立ち上がり、渡し損ねた白い封筒をブルーの手に、サムからの本をキースに押しつけると、生徒会室に入っていってしまった。
 
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恋人はサンタクロース 50

 投稿者:管理人  投稿日:2007年12月14日(金)00時28分42秒
返信・引用
  メンテナンスが結構長かったようで、ご迷惑おかけしました〜

……………………………………………………………………………………
「何言ってるんだよ!男の子だって初めてのキスは大事だよっ!」
顔を真っ赤にしたままジョミーは叫び、ヒシとブルーに抱きつく。
「僕はファーストキスはブルーとって決めてたんだ!」
「ちょっ、ちょっ、ジョミー?!」
「ああ、男同士で初めても何も、怒鳴らなくていい。私だって貴様とキスするくらいならブルーとするわッ」
いつもは冷静なキースが声を荒げたので、当のブルーは突っ込むのも忘れて呆然としていた。それは呆然ともするだろう。
騒ぎから少し離れたところで、マツカが声もなく泣いているのだから。
「あ、あの?ジョナ……」
青ざめたブルーの顔にジョミーも振り向き、驚いたようにキースと顔を見合わせた。
「マツカ、ごめんなさい。気に障ったのなら謝るね」
違うよ、ジョミー!そうじゃなくて〜〜ブルーは鈍過ぎる二人に目眩を起こしかけた。
 
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恋人はサンタクロース 49

 投稿者:葵アルト  投稿日:2007年12月11日(火)18時21分45秒
返信・引用
  悲鳴らしき声に慌ててマツカとブルーが部屋から飛び出してくる。
と、そこには憮然とした表情のキースと、驚きとショックに棒立ちのジョミーがいた。
「今、ファーストキスって言いましたよね」
心持ちキツイ声音でマツカが尋ねる。
「ブルーっっ」
抱きついてジョミーが泣き崩れる。
「偶発的事故だ。泣くほどのことないだろう」
冷静に口にしたのが逆に神経に障ったのだろう。辺りの空気がピリ…と緊張するのが感じられ、ジョミーはピタリと泣くのをやめた。
 
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恋人はサンタクロース 48

 投稿者:管理人  投稿日:2007年12月 9日(日)18時49分26秒
返信・引用
  「……ぼ、僕知らなかった(号泣)ごめんね!」
何を勘違いしたか、ジョミーはそう泣きながら走り去ろうとして、戻ってきたキースにぶつかってしまった。
しかも顔面から。
ちょうど唇の位置だった……
驚きとも悲鳴とも付かない声が、上がる。
「うそ…っ、ファーストキッス!?」
 
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恋人はサンタクロース 47

 投稿者:きりん  投稿日:2007年12月 8日(土)19時26分49秒
返信・引用
  「キースいるか〜。借りてた本・・・」ドアのところに立ったまま、サムは室内を見渡した。
「なんだぁ?キースの奴、ここにも居ないのか」
「キースなら、もう少しで来るよ」
「おうっ、ブルー久しぶりだな〜。ジョナ悪いな、これキースに渡しといてくれよ」
サムは屈託のない笑顔で手にした本を投げると姿を消した。

マツカは咄嗟に放り投げられた本を受け取ろうとして手を伸ばしたが、同時に手に持ったままの封筒に気が付いてバランスを崩し、テーブルに倒れこんだ。
「うわっ・・・!痛ッ・・」
「大丈夫かい?マツカ」
あわてて、ブルーがマツカの腰に手をかけながら顔を覗き込み、マツカがブルーの肩に手を回して起き上がろうとした時・・・

「う、うわ〜〜〜っ!!!」
素っ頓狂な声に振り向くと、開いたままのドアの下で、真っ赤な顔をしたジョミーが金魚のように口をパクパクさせて突っ立っていた。
 
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